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仙谷が尖閣いらぬと言ったから
9月24日は国恥記念日

自由主義史観研究会
代表 藤岡信勝

 

「巻頭エッセー」アーカイブ目次 


本歌は俵万智の、〈「この味がいいね」と君が言ったから7月6日はサラダ記念日〉。歌集『サラダ記念日』は1987年に出版され、280万部のベストセラーとなった。この歌にちなんで、現在では7月6日が「サラダ記念日」に指定されている。

上記の戯れ歌は、尖閣諸島近くの日本領海内で海上保安庁の巡視船に体当たりした中国漁船の船長を、中国側から何らの謝罪も譲歩も引き出すことなく、一方的に釈放すると決定してしまった9月24日が、「国家屈辱記念日となるだろう」という石平氏の提言(産経新聞、9月25日付け)に触発されて、私が詠んだものである。

歌集『サラダ記念日』「屈辱記念日」を「国恥記念日」としたのは、語呂のよさとともに、中国の「国恥記念日」に対抗する意味もある。中国の「国恥記念日」は、袁世凱政府が日本のいわゆる「対華21ケ条要求」を受諾した(1919年)5月9日である。なお、上記の戯れ歌が、「センゴク」と「センカク」で韻をふんでいるところにも気付いていただければありがたい。

9月24日の決定を行ったのは、「陰の総理」と呼ばれる仙谷由人官房長官である。菅首相は傀儡で、この問題について決定権がないことは、尖閣問題に言及するときの菅氏の、腐った魚のような、生気のない目を見ただけでわかる。しかし、仙谷氏がこの歌を見れば、「私が、いつ、『尖閣いらぬ』と言いましたか!」と、あ仙谷長官と菅首相のだみ声を張り上げて反論するだろう。 しかし、反論は成り立たない。少し回り道になるが、「領土問題」とは何か、ということから始めたい。領土問題とは、「①日本固有の領土でありながら、②外国によって実効支配されている土地」についての問題である。領土問題と言えるためには、①と②の2つの要件が必要だ。北方領土は日本固有の領土であるにもかかわらず、ソ連によって不当にも実効支配されているから、領土問題である。竹島も日本固有の領土でありながら、韓国によって不当に占拠され実効支配されているから、領土問題である。

それに対し、尖閣はどうか。尖閣諸島は日本固有の領土であり、かつ日本が実効支配しているから、領土問題は存在しないのだ。民主党の閣僚たちは、こんな初歩的なことすら知らないで国家の指導者となっている。

たとえば、事業仕分けで有名な蓮舫・行政刷新大臣は9月14日、閣議後の記者会見で、「(尖閣諸島は)いずれにしても領土問題なので、私たちは毅然とした日本国としての立場を冷静に発信すべきだと思っている」と述べた。「2番目でなぜいけないのですか」という失言に続いて学習不足をさらした大臣は、当日、発言を訂正した。

しかし、これよりももっとひどいのは、あの「ルーピー首相」こと鳩山由紀夫元総理大臣である。鳩山氏は任期中の5月27日、全国知事会議で「(尖閣諸島の)帰属問題に関しては、日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見いだしてもらいたいということだと理解している」と発言した。

何と首相の鳩山氏は、尖閣諸島が日本の領土であることを放棄し、日中どちらの国に帰属するか不明の島であると言ってしまったのである。従って鳩山氏は、尖閣諸島が日本固有の領土であることを否定したことになる。

仙谷長官と菅首相「つくる会」顧問で自由社社長の加瀬英明氏は、「それなら私が『鳩山御殿(写真右)は私のものだ』と言ったら、鳩山氏は話し合いに応じてくれるのでしょうね」と、チャンネル桜の石平氏との対談(9月16日放映)で語っていた。鳩山発言の本質を見事に曝いた卓抜な比喩である。鳩山氏の「東シナ海を友愛の海に」というスローガンの現実的効果は、日本領土を中国にくれてやるということなのである。

さて、準備体操が少し長くなったが、ここから本論。尖閣諸島は日本固有の領土である。領土問題が存在しないのは、北方領土や竹島と違って、そこを日本が実効支配しているからである。実効支配とは、日本の法律が適用され、日本の警察権が及び、犯罪者は日本の法律で裁かれるという具合になっていることである。そこが日本の主権下にあるということだ。

今回、中国人船長は公務執行妨害容疑で逮捕された。まだビデオが国民に公開されておらず、海の上で起こったことはピンと来ないところもある。陸上に置き換えて言えば、スピード違反で警察のパトカーの追跡を受けていた車が、パトカーに2度も体当たりをしてきた。パトカーには大きな傷がつくほどの衝撃で、警官には命の危険すらあった。殺人未遂とも言える凶悪犯罪である。その凶悪犯人がたまたま外国人で、彼の所属する国から「無条件で釈放せよ」と恫喝されて、日本がその圧力に屈服して犯人を釈放してしまったら、日本は主権を放棄し、その外国の属国になったも同然である。

仙谷官房長官がやったことは、これと同じことである。尖閣諸島の実効支配を放棄したも同然の行為である。今後は中国の漁船を装った工作船が、どんな犯罪行為を犯しても釈放されることになる。彼らはやがて、島を占拠するだろう。中国が尖閣諸島の実効支配に向けて、決定的な一歩を記した日、そして、日本の実効支配の一角が崩された日が、9月24日なのである。

仙谷氏は国会答弁で、「尖閣諸島は歴史的にも、国際法上も、わが国固有の領土であり、領土問題は存在しません」と、いくらお経のようにくり返しても無駄である。彼は行動によって、確かに「尖閣いらぬ」と内外に宣言したからである。こういう政権には一刻も早くお引き取りねがわなければならない。

(平成22年10月16日記)

 

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